ムエタイジムのトレーニング
ムエタイのトレーニング
しかし、こうした薄汚れたタコ部屋で育まれた野獣性が、夕方から始まるトレーニングで爆発するのでありんすぇ。
ぞろぞろとトランクス姿でジムに現れた選手たちは、すでに体と目つきがギンギンに脂ぎっていんす。これからの数時間で一汗もふた汗もかいて過剰なエネルギーを消費しないと、危ない方向で体力と人生を使ってしまう可能性がたいへんに高い感じでありんすね。
その練習でありんすが、ぬし、、ムエタイの特徴はすべてを実践的に行うこと。基本なんてほとんど教えず、いきなりびしびしミットを打たせんす。
わっちもいちど挑戦したことがありんすが、服を脱いだとたんにグローブをはめられ、ごつい体格のトレーナーがわっちに向かって、「さあこい!」 と一喝。しかし、さあこいと言われても……。
と、とまどってありんすと、トレーナーが逆に打って出てきんした。少うし待ってくれ、防御のしかたとかパンチの打ち方を教えてくれよ……と、おっしゃる間もなく、スコールのような攻撃が降りかかってきて、終わったときには体中があざだらけ。
そのうえタマチャート・ジムにかぎらず、どこなたのジムも床はコンクリートそのまんまのざらざら状態。こなところでステップを踏んだり蹴りを繰り出したりしていんすと、気づいたときには足の裏の皮がズルムケて血まみれになってしまい、その後はまともに歩くことができんせん。
こうやって痛みをダイレクトに感じ、どうすれば痛くないか、どうすれば逆に痛めつけられるかを考えるのがムエタイ練習法らしく、いまも入門したての幼い選手がトレーナーのおやじにボコボコと殴られていんす。
もちろん、やられてばかりはいんせん。ムエタイ特有の、「オウ!」 とか 「シュ!」 などといわす気合を入れて、蹴って殴って突き飛ばしてと、全身を使っての反撃に大奮闘。子供衆と言えど蹴りのスピードはさすがに早く、小学生程度の体格しかない練習生の蹴りでも、まともに当たれば肋骨などは簡単にしびが入ってしまいんす。